Feliz cumplean~os!


18日は同じ家に住むコロンビア人一家のソニアの誕生日だった。彼女の夫のオスカル、娘のカタリーナ、同じく同居人のガヴィと私で夕食を共にする(カタリーナはまだ赤ちゃんなので、その場にいただけだったが)。


何も知らなかった私は、いつもの様に一人キッチンでカレーとサンドウィッチという簡単な夕食を作っていた。我が家では私とSen~ora以外は皆夕食に力を入れていない。外食か出来合のもので済ませるのが殆どで、毎晩最低でも三十分はキッチンに立つ私はChef(チェフ、シェフ)と呼ばれている笑(大したものは作ってないのに)。最近発見した近所のオリエンタルスーパーで手に入れたカレールゥを使ってカレーを煮込んでいる(一人前だけ作るのは難しいと決めつけていたが、それ程でもなかった)と、いつもは外食で済ませているガヴィが挽肉やらトマト缶やらを手に現れた。何事かと思い、また彼女がミートソースを作り始めてもしばらく事態が飲み込めなかった。


一人で食べるにしては多すぎるだろうと思いながらも、カレーが煮えたので先に夕食を取っていると、ソニアが現れ、キッチンに立つガヴィに爆笑しながらその姿をデジカメに収めていた。私がカレーを食べ終えたちょうどその頃にガヴィ作のミートソースのパスタが完成し、ちょっと食べてみる、と誘われる。滅多にないことだ(失礼)と思い誘いを受け、自分が使った分の食器やら鍋やらを洗っていると、ソニアがケーキとワインを冷蔵庫から出していた。この時にやっと何事かが分かったのだった。


意外にも(またまた失礼)パスタは美味しかった。メキシコのレストランでもパスタは食べられるが、それはパスタと言えるものではなく、べちゃべちゃしている。好き好きではあるが、私は一度食べて以来メキシコではパスタは家で食べるもの、という考えでいる。てっきりそういうパスタかと思っていたが、「アルデンテちょい過ぎ」ぐらいの堅さだったので安心した笑。


いつものペースでワインを飲んでいたらオスカルにもっと飲めもっと飲め、とどんどん注がれてしまった。どうやらフィエスタの話ばかりするので相当の酒飲みと思われているらしい。近からず遠からず、と言ったところか笑(酒は飲めるが、決まって毎日飲んだり家で飲んだりはしない)。結構良いワインだったし、沢山飲んでしまって申し訳ない気にもなったが、注がれるままに結局半分近く一人で飲んでいた。酒飲みイメージを払拭するのはもう無理だろう笑。


一つ屋根の下に暮らしていて、その上Sen~oraは孫のパメ以外の皆をhijo/hija(イホ/イハ、息子/娘)と呼び、皆が揃って一つの家族だ、と常々言ってはいるものの、時折接し方に迷う時がある。誕生日は良い例と言えよう。前日の夜にオスカルから教えられてはいたものの、プレゼントを買って逆に気を使わせたりしないか、等とつまらないことを考えてしまっていた(日本人的と言えるのではないだろうか)。結局それらしきものは用意できなかったが、皆がプレゼントを渡している姿を目にし、自分も何か、と焦ったのだが、その時ふと、一週間前に前述のオリエンタルスーパーで買っていた、日本が誇るサ○ポロビールが冷蔵庫の中にあることを思い出した。値札が付いていたが、緊急手段だし仕方ないとほろ酔い頭で自己正当化し、さも用意していたかの様に渡す。幸い喜んでくれていたが、様々な点で文化的バックグラウンドというものの違いについて考えさせられる出来事だった。


その後、総勢八名の「家族」全員が食卓に会し、「ハッピーバースディ」を英語バージョン・スペイン語バージョンで歌い、ケーキを食べた。この時既に、カレー一人前(ご飯はなし)、サンドウィッチ二つ、パスタ約一人前が胃の中に入っていて正直辛かったのだが、いつの間にか二切れもケーキが皿に乗せられていた。こんなに食えない、と言うと、甘いものが入る所は別って言うんだよ、と言われた。この文句は万国共通の様だ。


甘いものは嫌いではないので、結局二切れ頂いた。その後、しばし皆で歓談した。皆の話は八割方理解できるようになったし、決まり文句や簡単な表現なら口をついて出る様になってきた。これは本当に家族の皆のおかげである。当初はやはり家賃が高い、と思ったりもしたが、一ヶ月が過ぎ思い返してみると、高い家賃の分だけ自分に返ってきているものも大きい。今では自分の判断が誤ってなかったと確信している程である(と言うのは性急かもしれないが)。


そう、もう一月が過ぎたのだ。時は待ってくれない。焦ることは好きではないし、常に心に(良い意味での)隙間を作りながら生きていきたい、といつの日からか思ってはいるが、それでももう少しだけ、先をしっかりと見据えた生活を送らねばならない。最近起きた色々な出来事を通じ、現在を生きることと未来を形作ることを、ぼんやりとではあるが考えさせられたのだった。


新書150グローバリゼーションとは何か (平凡社新書)

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