大分復調


帰国三ヶ月前に突如襲ってきた五月病もどき(とは言え毎年一回はこういう不調期がある)も大分小康状態となった。まぁ「無気力さが減ってきた」=「作業効率が上がった」とは残念ながらなっておらず、今も明日COLMEXの友人達に渡す予定の、政治学の授業で発表した箇所のレジュメが残っている状態なのだが笑(一応テンプレはあるので、それに肉付けするだけ)、それでも一ヶ月前と比べると大分活力が湧いているのは分かる。


近況と言えば、最近では主にCOLMEXで日本にもって帰る用の資料を片っ端からコピーしている。今現在で約二十冊、恐らく合計で四十〜五十冊くらいになりそうな予感がしている。勿論すぐに全部読むわけではなく、学部を出た後に進学する際など必要になるであろうものをこの機会に「輸入」しようという魂胆である。もしもこれが英語圏で、しかももっとポピュラーなテーマのものであれば、この作業をする必要はないのだが、「メキシコのインフォーマルセクター」等という普通の人なら興味の欠片も持たないであろうテーマの文献は、日本の大学・研究所の図書館で検索をかけてみても殆どヒットしない。国際機関の報告や有名な雑誌に載ってる論文等がかろうじてヒットするだけである。これは嘆いても仕方がない、というかメキシコに来た理由の一つに文献集めが元々あったのである。そういうわけで、一日に数冊ほどずつ、著作権などという概念が一般に知られていないメキシコ(笑)ならではの本の「全コピ」を行っている。


後は、各種日本に戻る準備を密かに始めている。もっと言えば、もう心は三分の一くらい日本の方を向いている笑。これが今年でなければこんなことはなかったのだが、ただ今年の場合はまだ見ぬ姪が日本で待っているので(待ってないかもしれないが、でもきっと待ってるはずである笑)、その点が今は気になっている。それと、大学で取っていたサブゼミ用の書評も書き上げなければならない(まだ半分しか読み終えていないのだが)。大学関係の諸々は、来るときもそうだったが、帰ってからもかなり面倒そうで気が滅入ってくる。ただでさえ対応が悪いので有名な私の大学(独法化でマシになるかと思いきや、そう簡単には変わってくれなかったようである)なので、また無駄なストレスを溜める羽目になるのかと思うと何とも鬱だが、まぁそれも仕方がない。


ちょっと前と違って、今は「前」を向けているのだと思う。勿論、不調期にあっても「前」を向いていたのは確かである。しかし、その「前」が、あまりにも「前」過ぎたのだと思う。今は実体のある「前」と言うか、ある程度のレンジにある「前」に向かっていけている(はずである)。それが、復調につながったのではないか、と考えている。


実体的な「前」に私を向き合わせてくれたのは、何人かの友人の言葉であった。いつからか忘れていた、「それでも」という、這い蹲る気持ちを思い出させてくれた友人の言葉には、何か熱いものを感じた。これでいい。そう思える強さが、その言葉にはあった。


メキシコ生活も残すところあと一ヶ月とちょっと。八月の頭には日本に戻ることになる。学校が終われば、またちょっと旅に出て(今回は種々の都合により前回よりも縮小版になりそうだ)、そして帰国、という運びになりそうだ。「基本=テキトー」でやってきたこの日記だが、残りは(ここ最近のつまらない近況報告ではなく)もっとメキシコについて、何か書きたいと思う。あくまでも今そう思っているだけで、実際は今まで通りになるのかもしれないが。


メキシコシティの夏は朝晩が結構寒い。夜半、暗闇の中で感じる冷気が、帰国を前にした複雑な感情を抱く身に沁みる。