もう一つの「家族」


いつもの更新は家のネット環境がプリペイド式ダイヤルアップというもののため、パソコンでメモ帳に書いてからコピペ、という節約方式を採っているのだが、接続料のサルド(残高)の関係で本日はCOLMEXのパソコンから更新している*1。日本にいた時以来、久々の「はてな管理画面」からの更新は、実はちょっと変なカンジでもある笑。


プリペイド式ダイヤルアップ(50キロバイト程度…)というのは、正直「光」等に慣れていた私にとって初めはストレスフルなものだったが、慣れてしまえばまぁこんなものか、と思えるものだった(流石にCOLMEXのネット環境は家のそれよりもよく、両者を比較してしまうとたまに不満もあったのだが)。スペイン語のニュースや長い文章をネットで読む時は、IEを幾つも開いて当該ページを表示し、接続料節約のためにそこで回線を切る、という、21世紀っぽくないことをしていたりもした笑。


しかし、そんな日々も明日で終わる。土曜日からはこの9ヶ月を過ごした今の家を出て、友人と共に生活することになる。


別に今の家に不満があるわけではない。家族は皆親切だし、皆の助けがなければスペイン語力は今(でも満足に話せないのだが)の水準をはるかに下回っていたと思う。会話力は特に元がゼロに近かっただけに、想像しただけでぞっとしてしまう。また、折に触れて様々なアドヴァイスをくれたり、メキシコ的な生活の断片を垣間見れたのも皆のおかげだと思う。最大の難点と(自他共に認める笑)家賃の高さも、会話力の向上やその他の側面を見れば全然安いものだったと思う(これは事前に考えていたことだし、事後的に振り返ってみてもその通りだったな、と思っている)。しかし、それでももう引越すことに決めたのである。


引越しを決めた理由は幾つかある。前述の家賃の高さもその一つではある。奨学金の半分は毎月家賃で消えているので泣、他にやりたいことがあってもそのための出費が限られる、というのはやはり何とかしたい。帰国に向け、「輸入」用の資料の購入・コピーは思いのほか高くつくし、また前回の休暇同様授業のない七月中旬は旅に出るつもりでいるので(今度は北部を回る予定)、それらを考慮に入れた「やりくり」の一環、という意味合いがないわけでもない。しかし、勿論引越しの理由はそれだけではない。


今の家に住み始めた当初、私達「家族」は、元々のメキシコ人一家・三人、コロンビア人のオスカル・ソニア夫婦とその子供カタリーナ、ベネズエラ人のガヴィと私の八人だった。メキシコとコロンビア及びベネズエラスペイン語はアクセントや抑揚が全く違うので、初めの頃は皆と交互に話をしているとかなり戸惑った覚えがある。しかし、どうにか慣れてきて、これからはもっと色々な話をしようと思っていた矢先にオスカル一家が引越してしまい、「家族」は五人となった。その後は短期的に色々な人が滞在していったが、三月からはもう一人のベネズエラ人・マウラが「家族」に加わった*2。しかし、六人になったのも束の間、先月末にガヴィがベネズエラに帰ってしまい、また私達は五人となった。


オスカル一家が去った後に感じた寂しさを私は今でも覚えている。それは、オスカルが一番私に優しく接してくれていて、日本のこと等を色々と聞いてくれたりしたからということもある。または、私とオスカル以外の「家族」は皆女性で、マイノリティとしての連帯感というか、そういうものだったのかもしれない笑。ソニアとカタリーナとも仲が良かった。理由はどうあれ、親近感を感じていた彼等の引越しは結構ショックだった。ガヴィとはオスカル一家程仲良くもなかったのだが、それでも彼女が去った時も同様に私は悲しい思いに浸っていた。ここに住み始めた時のメンバーが次々にいなくなっていくのを見届けるのは、中々辛かった。我が家が我が家でなくなる感覚とでも言えよう。そして、次は自分の番なのだな、という思いに襲われたのだった。


引越し自体は以前から計画していたことでもあった。COLMEXで一緒のYさんと、彼のルームメイトだったもう一人のYさんには、共に色々とお世話になったのだが、前々からYさん(後者)が五月に帰国するのでその後は空いた部屋に住ませてほしい、とYさん(前者)には冗談交じりに頼んでいた*3。しかし、実際五月が近づくにつれ、家族の皆に長らくお世話になったためか、引越さないというオプションもアリだな、とも実は思っていた(のですよ>Yさん)。しかし、ガヴィが去った後に込み上げてきた様々な思いが、私の背中を最終的に押したのだと思う。


それ以外にも色々な事情はある。Yさん宅(来週からの「自宅」)には何度もあがりこんでいるので笑、すでに「勝手知ったる」的な状態にあることや、Yさんと料理を分担できること笑、等である。また、ルームシェア(といっても新居はマンションなのだが)というのも初めてなので良い経験になるかな、という思いもある。


このblog的には、新居のネット環境はプロディジーと言う、日本で言ったらADSLにあたるものなので、更新は大分楽になる笑(が、それは更新頻度が上がることを必ずしも意味せず笑、また内容もこれまで通りの稚拙さを引きずることになるとは思う泣)。別に同居するからと言って、「メキシコ留学記」feat.「墨方見聞録」(YさんのHP)ということにはならないだろうが笑。


と言うことで、今の家で過ごす時間は今日の帰宅後と明日を残すのみとなった。別れは確かに辛いが、今度ばかりは、悲しむ前にやらなければならないことがある。それは、これまで「家族」と一緒に過ごした時間から得た、様々な有形無形の「もの」への感謝を、最大限に表明することである。我が家では、たとえ僅かであっても滞在した人々は、我が家を出た後も皆「家族」であり続ける、という風に考えられているらしい。勿論私も、いつまでもそんな「家族」の一員であり続けたい、と思っている。


A mi "familia": Muchas gracias por estar conmigo siempre! Me gustari'a seguir siendo uno de sus familias. Aunque estaremos lejos uno del otro, ustedes van a estar en mi corazo'n para siempre. Muchos saludos cordiales... Hasta luego!!!!

*1:COLMEXのパソコンは全て日本語表記にも対応している。故に長いメール等はこれまでもCOLMEXで書いていた。

*2:以前何かの折に、コメント欄に彼女とそりが合わないといったことをスペイン語で書いた覚えがある。しかし、今になって思うと、そりが合わなかったのは当時毎晩の様に我が家に来ていて遅くまで居座っていた彼女の恋人の方だったのだと思う(私が、というより、あちら側が私のことをあまりよく思っていない様に感じていた、と言っても憶測に過ぎないのだが)。彼が母国(どこから来ていたのかは忘れてしまったが、南米の方だったと思う)に帰ってからは、それまでの様に面前で(英語で)私のことをとやかく言うこともなくなったし、全般的に付き合いやすくなった。彼女との仲が悪いから引越す訳ではない、ということは強調しておきたい。

*3:「Yさん」という言葉が続いて読みづらいとは思いますが笑、ご容赦ください。