テレビのある生活


メキシコに来る前、いつも昼前に一緒にお茶を飲んでいた大正生まれの祖母に耳にたこができる程(何ともベタな表現笑)聞かされたのは、「外国では夜出歩いちゃいけない」ということだった。還暦を過ぎてからハワイに旅行に行くくらいアクティブな祖母のこの言いつけを「適宜」(ここ重要笑)守っている故か、特に平日の夜は家でまったり過ごすことが多い。日曜日も、明くる月曜日の授業に備えて大抵は家にいる。その時間の殆どを勉学に当てればよいのだろうが、そういうわけにもいかない笑。到着当初はテレビを見ても何を言っているか分からなく、MTVばかり見ていたが、最近はテレノベラ(ドラマ)も大体分かる様になってきて(分からない部分もあるが)、色々なものを見るようになった。メキシコ(及びラテンアメリカ諸国)のドラマは、テレノベラと呼ばれることからも分かる様に、テレビ小説のごとく毎日放送される(しかも一時間!)。撮影が大変そうとは思うが、結構ナチュラルに演じているカンジで、言い間違いも普通に訂正している(元から芝居かかっているということもあるのだが)。韓国のドラマも似たような状況だったと思うが(「冬のソ○タ」とか)、韓国がラテンアメリカのこの方式を真似したという話を以前聞いた覚えがある。それ故に、京都のテレビ局が韓流ブームの更に先を行こうと原理的には同じなメキシコのテレノベラを輸入した、というニュースがちょっと前にあったが、ハッキリ言ってメキシコのテレノベラは日本では絶対に流行らないと思う笑。


今放送されているものの中で私が見ているのは、とりわけティーンに人気の、夜七時からTELEVISA(3チャンネル)*1で放送している"REBELDE"(レベルデ、不良の意)というものだ。昨年の十月からずっと続いている人気番組で、私は三月辺りから見始めた。主人公はRBDというポップ・グループの六人で、エリート養成のための私立高校を舞台に恋愛あり、喧嘩あり、校内に潜む悪の秘密結社との対決あり(ホントです笑)、と、まぁ無茶苦茶な内容である笑。主人公は六人と書いたが、実際他の出演者も主役級の働きをしていて、誰が主役なのか未だに掴めない。エリート養成の割にはみんな全然勉強ができなかったり(皆授業の半分くらいサボってる笑)、先生が計五〜六人しか登場していなかったりと、突っ込み所は他にも沢山ある。三月はほぼ毎日見ていたが、四月・五月は結構見逃している日もある(例の秘密結社の親玉との直接対決の回を見逃してしまい、その翌々日辺りに見たら、何事もなかったように皆が学校生活を送っていて多少驚いたりもした笑)。アドリブも利いていて、TV AZTECAでやっている裏番組の"Top Model"をパロって主人公の一人がモデルをする時に"Top Model"と叫んだり、まぁ比較的何でもアリ系である笑。


ドラマ自体もさることながら、主演(ということになっている)のRBDも、メキシコのみならず中米各国で人気が出てきている様だ。エル・サルバドルでミニ・コンサートを行った、等というニュースも耳にした。彼等六人(男女三人ずつ)の人間関係は中々微妙らしく、彼等の中には何とカップルが二組もあるらしい。しかし、Dulce Mari'a(役名はRoberta、ロベルタ)とAlfonso Herrera(Miguel、ミゲル)は堂々とその関係を公言している一方、Anahi'(Mi'a、ミア)とCristopher Uckerman(Diego、ディエゴ)の方は、特にAnahi'が周囲にその関係を悟られない様にしているらしい(週刊誌情報)。まぁその辺りはそれ程興味がないのだが笑。


ちなみにREBELDEの公式HPはこちら


Rebelde

Rebelde


さて、この様に平日はREBELDEを見て、ニュース等をちらっと見る、という具合だが、日曜日の夜と言えば勿論ACADEMIA(アカデミア)である(公式HPはこちら)。これは素人が歌手になるべく、ACADEMIA(学校)に入って歌手を目指す、という番組だ。平日は日々の学校での生活を放映し、日曜日にコンサートを開き、批評を受け更に電話投票による一般の審査を受け、週に一人ずつ落としていく、という内容で、私は日曜日の分しか見ていない。もっと正確に言うと、日曜日の九時過ぎ(この番組は七時から十時までやっている)から見始める(今日はこれを書きながら七時過ぎから見ているが)。何故九時過ぎからかと言うと、この時間帯に今メキシコ中を騒がせていると言っても過言ではない、JOLETTE(ジョレッ)という女性が登場するからである。


このJOLETTEさんの何が問題なのかというと、彼女はもの凄く音痴なのである笑。容姿は端麗なのだが、性格的にも問題があるらしく、これまでに何度か他の生徒と問題を起こしている。それなのに何故かいつも視聴者からは投票され続けている。四人の批評家達も彼女にはかなり辛辣な言葉を投げかけ続けていて、ちょっと痛々しかったりもする笑。四人の中で一番キツいロリータ・コルテスさんは、何度か「もう彼女に投票するな」とカメラに向かって言っていたが、最近では「その衣装キレイですね、はい終了」といった具合で批評を切り上げている。一番的確な批評をしているオスカル・サルキスさんも、数週間前に"La justicia ha muerto"(正義よ何処へ)とプリントされたシャツを着て、抗議していた。それでも彼女は投票され続け、彼女よりも歌がうまい多くの生徒が心ならずもACADEMIAを去らねばならない、ということが今起きている。ここ数週間は彼女自身もうACADEMIAを去りたいと思っているらしく、先週の投票結果発表の前に「もう帰る」と言い、司会者に「あなたにそんなことを言う資格はない、そんなことはできない」と叱られていた笑(しかもその際に会場から"Si, se puede!"(いや、できるぞ!)という、スポーツの際によく言われる掛け声がかけられていた笑)。まぁ嫌なら初めから応募するな、と思わないでもないが笑、まぁ育ちの良さ故に気付かなかったのだろうか。度々画面に映る彼女の両親を見ると、恐らく叱られたことなどないのだろうなぁという思いを抱かずにはいられない。さてさて、今週の彼女の運命はいかに。


しかし、今見ていて気付いたのだが、ACADEMIAの中でもカップルが誕生したらしい。いよいよヤラセの線が強くなってきた笑。と言うのは冗談だが、JOLETTEさんの件もあるので、疑われても仕方がない。今歌っている平井堅似のEDDGARもセットのプールの中に飛び込んで歌っていたし、こちらもREBELDE同様何でもアリ系である笑。


私自身バンドで歌っていた経験があるので歌には多少厳しいのだが笑、彼等の全てが全て上手く歌っているわけではない。ただ、よく批評家達が言ってる様に、「解釈」というレベルではみなそれなりに訓練されているな、という印象を抱いている。それに各自の色を出して、「見せる」レベルに持っていっている(約一名の例外を除く、まぁある意味「見せる」レベルだが笑)。スポットライトのこちら側からステージを見ていると、年甲斐もなくもう一度向こう側に立ちたいという気持ちにさせられる。


と、こんな具合でテレビのある生活を送っているのだが、これもあと三週間程で終わってしまう。これについてはまた今度、ということになるが、今はこの生活を思う存分満喫したい。REBELDEとJOLETTEで満ち溢れた生活を笑。

*1:私の家はケーブルテレビ(カブレの方)が入っていて、九時から12チャンネルで再放送がある。専らその再放送の方を、夕食の準備をしながら&夕食を取りながら見ている。