入院


新年早々本格化していた風邪はプレゼンが近づくにつれ回復していっている様に思えたのだが、どうやらそうでもなかった。プレゼンの翌日は何ともなかったのだが、明くる日曜日はベッドから起きるのも辛い程の体調だった。


何とか這い上がり、りんごジュース口にするも事態は全く変わらず、それどころか強烈な寒気に襲われる。遣り過ごす様に再び眠りに着くと、今度は汗だくになる程の暑さで目を覚ました。完全な風邪である。ただそこまで酷いとは思っていなかったので、この日は様子を見て、次の日になっても変化が見られないようだったら病院に行こうと思っていた。


しかし、そんな私を見た家族から軽く叱られたこともあり、タクシーですぐさま病院に向かうことになった。向かったのは以前、到着直後に体調を崩した際にもお世話になった、日本人の先生が何方かいらっしゃるオスピタル・エスパニョール(スペイン病院)である。


病院に着き、日本人の先生のところに通して欲しいと告げると、その日は誰もいない、とのことだった。とは言えかなり辛い状態だったので、誰でもいいから(というと失礼に聞こえるが)診察をお願いしたいと伝え、急患用の診察室に通される。症状を一通り説明し(ちなみにこの時点での体温は39度)、採血や点滴、肺のレントゲン等を取られ、症状が酷い様だし今夜は泊まっていきなさい、と言われる。人生初の入院がまさかメキシコで、とは夢にも思っていなかった。


病室は個室で、ケーブルテレビが見放題の、ちょっとお値段が気になる*1様な、快適な部屋だった。採血後に解熱剤を飲んでいたので部屋に着いた頃には大分楽になっていた(とは言え38度程度)。が、どう言うわけか病室では半袖の浴衣の様なものしか着用を許されず、風邪の時にはひたすら着込めと教えられてきた私にとってはとてつもない違和感の残る格好を強いられた。それもあってか実はこの日はあまりよく眠れなかった。


翌日、前日と比べれば体調は良くなっていたが、日本人の先生が来るまでここにいなさい、と言われ、その通り快適部屋で一日を過ごす(体温はもう37度にまで下がっていた)。昼過ぎに、ステイ先のセニョーラの要請を受けた同じプログラムで来られている方が見舞いに来て下さった(この方は我が家のセニョーラの娘の家にステイしている、言わば「メキシコでの親戚」に当たる)。その頃には大分よくなっていたので、色々と話をさせてもらう。こういう時に力になってくれる人がいるのは何ともありがたいものである。


その後、奇妙な格好のせいだと思われるが、一時的に寒気がし、熱も再び38度まで上がる。すぐさま解熱剤を飲まされ、奇妙な格好のままいられるかと思い勝手にジャージ*2を履き、静かにしていたらまたすぐに熱は下がった。その後に日本人の先生が部屋に来てくださり、明日の朝まで様子を見て大丈夫そうだったら退院、という話になる。その後は何事もなく夜を迎え、テレビと電気をつけたままいつの間にか寝ていた。テレビのせいか、それとも大量にかいていた汗のせいか、朝方の五時に目を覚まし、ナースコールで看護師さんを呼び、例の浴衣の様なものとシーツを変えてもらう。


翌朝目が覚めるとまた汗で浴衣の様なものが濡れていた。朝食後に再びそれを変えてもらい、くつろいでいたら再び先生が来てくださり、予定通り退院することになった。事務処理を済ませタクシーで帰宅し、飲み物等を買い込み二日ぶりの我が家へと戻る。すぐに部屋に戻りベッドに横になる。と言うのも、タクシーの中にいる辺りからまた少し寒気がしてきたからである。処方された解熱剤を飲み、とにかく着込んで眠りにつく。例の如く汗だくになって目が覚め、シャツを替えてまた寝ているうちに何とか熱も下がり、起きていられるくらいにまで回復する。


その後は順調に回復し、明けて今日はシャワーを浴びたりこうしてblogを書いても平気な程にまで体調は戻った。とりあえず今週は部屋で読書でもしながら安静にしているつもりである。


忙しかったこともあり、たかが風邪ごとき、と思って放置していたのがこんなことになるとは思ってもいなかった。色々とご迷惑をおかけした方には本当に申し訳なかったと思っている。それにしても自己管理能力がこんなにも衰えているとは、我ながら驚きであった。全くもって情けない限りである。


何だか新年早々良いことがない。思い返してみれば去年も一昨年も、その前の年もそうだったと思う。物覚えの悪い私が覚えているくらいなのでよっぽどツイてない新年を四年も繰り返しているのだろう。ただこの四年間の全てが最悪だったわけではなく、その後は快方へ向かっていったこともまた事実である。今年もそうなれば良いのだが、どうであろうか。さしあたっては体調を一刻も早く整え、二月の頭から予定している旅行に備えたい。

*1:ちなみに東京海上の保険に入っているとこの病院ではキャッシュレスで診察その他が受けられる。

*2:日曜日の時点では考えている余裕もなかったので着の身着のまま家を出たのだが、それはジャージにセーター(ここまではパジャマ代わり)、スタジャン、ストール、ニットキャップという、もの凄い格好で外出していた様だ笑。