「ピンポン」を見る


フォーラムの期間中COLMEXで日本映画の上映会が二度あった。一日目は上映会の存在すら知らなかったが、二日目は事前に知らされていたので、参加させて頂くことができた。この日上映されたのは数年前にヒットした窪塚洋介氏主演の「ピンポン」である。


この映画には「REVOLVER」というファッションブランドのデザイナーであるARATA氏が出演している。数年来、私は「REVOLVER」及びARATA氏ともう一人のデザイナー・KIRI氏のファンであり、ブランド立ち上げ以来多くの愛情(とバイト代)を注いできた(つもりである)。俳優・モデルとしての氏の活躍ぶりも目を見張るものがあり、マルチな才能を有する日本屈指の若手デザイナーだと私は信じて疑わない。


映画は以前一度見たことがあったが、随分前のことなのであまり覚えていない箇所もある。そのため、いざ上映が始まっても何ら飽くことなく最後まで楽しませて頂いた。


映画が終わってから、感想等を話し合う時間が設けられた。ある意味特殊なこの映画をメキシコの方々がどう受け止めるか興味津々だったが、概ね好評の様に見受けられた。


上映会場の後ろの方に座っていらしたメキシコ人の方が、この映画に見られる日本社会の影響、という中々面白い分析をされたのだが、その方が最後に、折角なので日本人の意見が聞きたい、と仰った。その場には私ともう一方の二人、日本人がいたのだが、もう一方が私にその役目を振られたため、何かコメントせねばならなくなった。映画論という分野にもそれなりの興味はあるが、そんなことを即席でできる力は勿論ない。私の前にコメントをされた方の意見に便乗しつつ、「社会的圧力、社会的ヒエラルキーが未だに色濃く残る日本の、特に若者の間での、異端的ヒーローの登場に対する切望をメタフォリックに語っている」という具合の、滅茶苦茶なコメントをしてしまった。日本人面をして語ったためそれなりのインパクトが図らずも出てしまったのだが、今考えると恥ずかしいし、同席された方々に間違った日本観を与えてしまったかもしれない笑。私見ということでご容赦願いたい。


また、コメントの中で、「先にどなたかが言及されたように」という断りを入れたのだが、「どなたか」扱いしてしまった方というのは、実は、日本文化論を研究されている大学の先生(しかもその道の第一人者的な方)である、ということを後から知った。恥の上塗りである。


メキシコでは色々な意味での「日本」的なものが人気である。映画、マンガやアニメ、ゲームといったものから、柔術や日本料理といったものまで幅が広い。日本語を勉強している学生も数多くいる。不均衡なものかもしれないが、日本とメキシコの関係は希薄ではないと言えるだろう。良い意味でも、悪い意味でも。


ピンポン ― 2枚組DTS特別版 (初回生産限定版) [DVD]

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