フォーラムでの出来事


先週から今週にかけて、COLMEXで日本関係のフォーラムがあった。COLMEXではアジアに関する研究も盛んなのである。かつては吉見俊哉氏を始めとする著名な研究者が何人も在籍していた/いることはあまり知られていないのではないだろうか。


フォーラムの初日にコメンテーターとして一橋大学加藤哲郎氏がお見えになるとのことで講演会場へと足を運んだ。講演自体は難しく、私の専門から大きくかけ離れたところにあるものでもあったが、興味深く聞かせて頂いた。


何故かは忘れたが、加藤氏がお書きになった『国境を越えるユートピア国民国家のエルゴロジー―』(平凡社ライブラリー)をたまたま持ってきていた(まだ未読だが)。これ以外にもメキシコ及び自らの研究に関係ない本を何冊か持ってきているのだが、こういうカタチで何らかの繋がりが生まれるのは何とも不思議である。


講演の翌日、気分転換がてら昼下がりに私は図書館で日本の小説を読んでいた。そんな折、ふと顔を上げると加藤氏が邦語文献を眺めていらした。背もたれに寄りかかり足を組む、というリラックスした(?)格好で小説を読んでいた私は一瞬驚き、そのままの姿勢で止まってしまった。加藤氏は私の存在に気付かれ、一言「こんにちわ」と仰って下さった。即座に姿勢を正し笑、会釈をしたのだが、私の様な者にも気さくに声をかけて下さった加藤氏のお人柄がこの時垣間見えた。