COLMEXで過ごす一日

COLMEXの図書館から



授業がある日は朝からCOLMEXに行く。良くないとは思いつつも朝食の時間を睡眠にまわしがちなので、身支度等をしてすぐに家を出る。


以前はAv.Divisio'n del norteからAv.M.A.de Quevedoまでの約十分の道のりを健気に歩いていたが、最近はペセロに乗ってしまう。渡りづらい信号があるのが主な理由である(プラス面倒臭がり屋の本性のせい)。個人的にこれを「2・5ペソ(=約25円)の贅沢」と呼んでいる(贅沢でも何でもないが笑)。


一般的にメキシコではpuntual(プントゥアル、時間に正確な、の意)と認識されている模範的な日本人を見事に演じ切っているので笑、大抵授業の20〜30分前にはCOLMEXに到着する。その時間を家での朝食に回せばいいのだが、交通渋滞の酷いメキシコシティでは同じ道でもちょっと時間がずれると足止めを喰らってしまうことがある。なので最近は授業のある日に限っては家で朝食を取らず、COLMEXの食堂で食べるようにしている。


この食堂は先月上旬にリニューアルされたばかりで、廉価でそれなりの食事を出すことで(ごく限られた間でだが)有名である。昼食(通称「COLMEX定食」)の場合は事務で学生証を出して食券を買わなければならないが、朝食(「COLMEXモーニング」と先日勝手に命名)の場合は頼んだものによって代金を支払う、という制度である。トルティージャ数枚とチーズ入りスクランブルエッグにフリホーレス(豆)、飲み物を付けても15ペソ(=150円)程度であるにもかかわらずアツアツのものを出してくれ、個人的にはもの凄く重宝している。


最近退屈になってきた(同じ話の繰り返しが多いので…)授業を終え、10ペソ(=約100円(正規の学生は7ペソらしい))のCOLMEX定食を頂き、図書館に向かう。何か資料や文献等を読んだりすることが多いが、飽きてくると日本語の本が置いてある所へ行って村上春樹夏目漱石の小説をパラパラと読むか、ネットをして気分転換を図る。COLMEXにはアジア関係の研究所があり、日本人研究者も常に数人おられ、そのためもあり日本語の本も結構置いてある(『思想』のバックナンバー等もある)。


正規の学生でないためか、私達は図書館から自由に本を借りることができない。私達の様な立場の生徒や外部の機関に所属している方々は3000ペソ(=約30000円)を支払えば借りれるようになるらしい(1000ペソは寄付で、2000ペソは保険扱いのため、2000ペソは後に返還される、とのこと)。研究テーマの本を検索するだけで300冊以上のヒットがあり、とても自力で全てをコピーしたりはできないので、そろそろ3000ペソを払おうとは思っているが、若干の戸惑いが未だにある。


天気のいい日には、図書館の窓際の席から見える芝生と晩秋の日差しが織り成すコントラストにしばし見入ってしまうこともある。相変わらず勉強の方はそれ程はかどっていないのだが、それはひとえに私の精神的な問題であって、施設にその責を帰すことはできない。この恵まれた環境には、今でもしみじみ思うが、本当に感謝している。


唯一の難点は、これはCOLMEXのせいではないが、帰りのペセロがいつも渋滞に巻き込まれることぐらいである。これも半ば慣れたのでもうそれ程気にはならない。乗り物酔いしやすいはずだったが、いつも行き帰り一時間もペセロに揺られているせいか全く酔わなくなった。嬉しい誤算?である。