"Diarios de motocicleta"


折角plazaまで来たのだから、と、ついでに映画を一本見ていくことにする。時間が合わずに小一時間ばかり待たなければならなかったが、それでも話題の"Diarios de motocicleta"(邦題「モーターサイクル・ダイアリーズ」)が見たかったので、買ったCDを聞きながら時間を潰した。


これは若き日のチェ・ゲバラの南米旅行を題材にした映画である。南米のスペイン語はメキシコのスペイン語とは若干(というかかなり)違うし、まだまだ発展途上段階のスペイン語力ゆえ、正直セリフに関しては分からなかったところが多い。が、ストーリーの流れや登場人物のキャラ等のおかげで、前後がほぼ完全に繋がった。


主演のガエルの演技は"Amores perros"の頃と比べて全然よくなってきている様に私は感じた。特に、急病に襲われた際の演技が印象的だった。彼の代名詞とも言えるラブシーンでも相変わらずの存在感を発揮していたのではないだろうか。


"Yo ya no soy yo."(オレはもう、(前までの)オレではない)―終盤でガエル演じる青年ゲバラは言う。ラテンアメリカの国々にまだまだ存在していた(そしてそれは今でも残り、拡大してさえいる)貧困を目の当たりにした後のセリフである。後に革命家として後世に名を残した彼は、実際そう感じ、またその思いが彼を突き動かしたのであろうか。


それにしても、スペイン語の地域差というものをこの映画を通じて改めて実感できた。例えば同じ"vamos"という言葉でも、一方(メキシコ等)では「バモス」と字面通り発音し、他方(アルゼンチン等)では「バモ」という発音になる。メキシコ生まれのガエルはアルゼンチン訛りの練習をした、と「地球のおしり」さんのところで読んでいたのである程度覚悟して見に行ったのだが笑。個人的には"Puta tu madre"や"Hijo de puta"といった侮辱語と言われるフレーズが日本版では何と訳されているか気になるところである。


メキシコシティ内には至る所に映画館がある。その多くは所謂「シネコン」である。しかも日本より格段に安く(大人一人500円もしない)、水曜は半額になる。映画好きにはたまらない。近所にも幾つか映画館があるので、色々と行ってみようかと考えている。そうすると、旅行資金が貯まらずに行程を見直さなければならなくなるのだが…。