霞みゆくアステカスタジアム


サッカー部に所属していた中学時代、週末は休むためのものではなかった。県内では一応の強豪校であり、練習試合や招待試合が次から次へと舞い込んできたためである。私の様な補欠と言えども、試合はおろか練習すら休むことができない、そんな環境である。たまの休みには、中学生らしく友人と買い物に出かけていたものだった。大学に入ってからの様なだらだらとした週末は、当時は考えることすらできなかった。


こちらに来てからは久々に忙しい週末を過ごすことが多くなった。メキシコ人の友人も日本人の友人も、然して面白みもないこんな私を、色々な催しに呼んでくれるのだ。本当にありがたい限りである。


先週末の土曜日はCOLMEXで一緒の方の家で行われたフィエスタにお呼ばれした。同じプログラムで来ている方の誕生日と月末に迫った私の誕生日を一緒に祝ってくれる、とのことである。


その方の家は十分に広いマンションで、とても居心地が良かった。家主の方々の手料理に舌鼓を打ちながら、夜は更けていった。


久し振りに家に帰らないで飲もう、という決意(笑)で来ていた私は、当然タクシーで帰宅する方々とは一緒に帰らず、残った方達と朝まで、何がどうした、あれがどうした、という話をし、早朝にリブレを捕まえて帰宅する(危ないはずのリブレだが、実は早朝から、それも女性一人でも利用している人が結構多い)。実はその前に、タクシー帰宅組の中の一方が明くる日曜日に行われるサッカー・メキシコリーグの試合を見に行くというので、もし朝になって元気が残っていたら連れて行って欲しい、と伝えていた。その時は冗談半分で言っていたのだが、オール明けでナチュラル・ハイ状態の私にはもう何も見えていなかった笑。充電中の携帯をとり、メールで是非ご一緒したい旨を伝え、シャワーを浴びて気合を入れる笑。


試合が行われるアステカスタジアムは世界第四位の大きさのスタジアムである。しかもこの日のカードは、共にメキシコシティを本拠地とするアメリカ対プーマスという、人気チーム同士の試合であった(が、今期は両チームとも調子があまり良くなく、スポーツニュース等では「D.F.の危機」等と騒がれている)。これは見逃せない。


スタジアム内部では、ここは法治国家なのか、と目を疑いたくなるような光景がチラホラと見られた。両チームのライバル意識のせいか、一方のサポーター集団の近くを他の一員が通ると、とび蹴り、鉄拳が容赦なく飛び交う笑、と書けば誇張が過ぎる様に思えるが、それに近いことは確かに行われていた。警官も多く配置されていたが、お構いなしといったところである。


試合はプーマスが3対0で圧勝した。プーマス側で応援していた私達にとっては何よりの結果であった。前半で既に三点差がついたからであろうか、アメリカの世界的スター選手、クラウディオ・ロペスは前半終了間際に交代してしまった。彼のプレーを楽しみにしていただけに、とても残念であった。彼はチームの中でそれなりに機能していた様に思えたので、不満の残る交代であった。


また、試合開始時点で既に三十時間程ぶっ続けで起きている状態であったため、試合が全く動かなかった後半になると、視界が途切れ途切れ、という状態になった。つまらない授業中に、コクッコクッ、となる、あのカンジである。当然だが、やはり無謀であったということだろう。


しかし、私達の後ろにいた女の子数人のグループが始終口にしていたスラングは、変な話だが、とても勉強になった笑。そういう使い方をするのか、と、思わず頷いてしまった。使う時が来るのか分からないが(いや、多分と言うか絶対に来るに違いないのだが)、その時は参考にさせてもらおうと思っている笑。