Quere'taro旅行

el baile



9月16日はメキシコの独立記念日である。街中が前日の夜中からお祭り騒ぎになる。世界最大の都市が最もアツくなる日、世界最大級の祭り、とも言えるだろう。


私が通うCOLMEXや近隣のUNAMの附属機関であるCEPEは15日から休みとなり、一年に一度の宴に向けて臨戦態勢を取る笑。とは言えCOLMEXはまだセメスターが始まってないので休みといわれてもピンとこないのだが、休みは休みであり、また何故かこういう時は何となく休暇らしい過ごし方をしてみたくなるものである。CEPEに通われている方から誘いを受けていたこともあり、急遽数名でQuere'taro(ケレタロ)へ旅行に行くこととなった。


Quere'taroはメキシコシティからバスで三時間程のところにある北部の工業都市である。街を挙げて美化に取り組んでいるだけあり、街の至る所にゴミ箱が設置されている(メキシコシティでは当たり前の様に路傍にゴミが捨てられている)。とても綺麗で心地よい街としても名高い。


旅行先としてQuere'taroを選んだのには幾つか理由がある(と言っても選んだのは私ではないのだが)。一つにはメキシコシティから近いということだが、最も大きな理由は13日から15日までSanta Cruz de los Milagros(サンタ・クルス・デ・ロス・ミラグロス)という伝統舞踊の祭りが開催されているということである。夜にはメキシコシティに戻り騒ぎを目の当たりにできる、ということも当然考慮されていた(のだろう)。


ステイ先から一時間弱はかかる北バスターミナルを朝八時に出るバスへと乗るために、この日は五時過ぎに起床し六時前には家を出た。この時間帯はまだ真夜中の様に暗いが、家の前の通りは街灯が杲々と照らしているので大して心配は要らない(ということをこの日知った)し、バスに乗るまでに通る道は車の往来が朝方でもあるところなので、安心と言えば安心である。余裕を持って家を出たおかげで、待ち合わせ時間の約一時間前にターミナルに到着した。


飛行機ですら酔ってしまっただけに三時間もバスに揺られるのはいささか心配でもあったが、ト○ベルミンと一等バス(最高級であるデラックスの次に良い)の快適さに助けられ、少しも気分が悪くなることなくQuere'taroに着くことができた。そして一行は水道橋を眺めつつ祭りが催されている広場へと向かった。


伝統舞踊は先住民とスペイン軍との戦いをモチーフにしているらしい。そうであるならば先住民の軍隊までもが教会(=スペイン的なもの)から出てきたり、イエスが描かれた旗を持っているのはおかしいと思ったが、それは土着宗教とカトリックの融合という歴史が可逆的に作用したためだろう。何はともあれ、老いも若きも先住民的な衣装に身を包み踊り暮れるこの祭りは見る者を圧倒していた。


祭りを一通り見終わった後に街の中心部の方へと足を伸ばしてみたのだが、やはりこの街は綺麗だった。景色や街並みも然ることながら、やはり評判通りゴミが少ない。都市の喧騒から離れ、時間がゆっくりと流れる美しい街。日帰りではなく二、三日滞在してみたくなる。Quere'taroはそんな街だった。