白が黒に染まる度に


メキシコには正装用の革靴と運動用のサッカーシューズ、普段履きのスニーカーの三足を持ってきた。当然だがスニーカーを履いている時間がダントツに多い。


スニーカーは、たしか先月だったと思うが、原宿の某ショップで買った「MADFOOT!」の「DAAM1」(白/ゴールド)である。以前同モデルの別色を履き潰してしまったのだが、懲りずにまた同じものを買ってしまった。


日本にいる時はあまり汚れることのなかったこのスニーカーだが、こっちに来てからは徐々に黒ずんできている。放し飼いにされている犬や猫の糞が普通に通りに転がっているし(多分二回くらいは踏んでいるはず)、夏場は毎日のように雨が降るので、それはごくごく当然のことである。


日本にいた時は白いスニーカーが汚れることを結構嫌がっていた私だが、今は別段何も感じない。いやむしろ、真っ白だったスニーカーが黒ずんでいく度に、自分がこの国に溶け込んでいっている様な気分になる。


このスニーカーが見るも無残な姿になり、新しいものを買う時はいつ来るのだろうか。その時、私は今よりももっとメキシコ色に染まっていられるのだろうか。きっとそうであろう。今はまだ斑点程の黒ずみではあるが、それでもそれが一つずつ増えていく度に自分の中のメキシコが大きく身近なものになっていっているのだから。