旅、再び


大学も夏セメスターが終わり、気が付けば留学期間も残り一ヶ月を切った。


時間の流れというのは時に残酷で、特に私の様な未熟者にとってはとても追いついていけないスピードで過ぎていくことがある。この一年はまさにその様な年だったと思う。やり残したことは、と問われれば、幾らでも列挙できる。あれもこれも、と。


それでも、時は流れる。それにどうにかついていかなければならない。この、がむしゃらで必死でとても格好悪いけれども、それ以上に大切な、「それでも」という一言の重みを、色々な意味(勿論、いい意味でも悪い意味でも)で教わったメキシコ生活だったのではないか。一年を振り返るにはまだちょっとだけ早いが、そう思ってしまうのである。


今のところメキシコ生活の最大の思い出は、前回二月に行った南部の旅である。本格的な一人旅というものは初めてだったが、特に大きな問題もなく終えられ、また多くのことを学ぶことができた旅だった。


当初から考えていたことでもあったが、明日からまたしばらく旅に出る。本当はもう少し色々なことが片付いてから、と思っていたが、時間も時間だしそろそろ出発することにした。もう明日の昼のバスのチケットを購入してしまったので、明日発つしかないという事情もあるのだが*1


今回のルートは、モレーリア、グアナファト、サカテカス、チワワ、クリール、ロス・モチス、グアダラハラ、の、中部〜北部一周である。本当だったらロス・モチスからバハ・カリフォルニアに渡り、ティファナまで一日かけてバハ・カリフォルニアを北上し、その後ロスに入り、帰りはエル・パソからシウダ・フアレスに抜け、また一日かけてグアダラハラへ、というルートを考えていたのだが、如何せん時間がないので「小回り一周」の旅にグレードを下げた。下に、地図を扱っているサイトの方からお借りした地図を元に、前回のルート(赤)と今回の予定ルート(青)を載せておく。こうしてみると、結構な移動距離であることが改めて分る(移動している身としてはあまりそう感じることは少ないのだが)。あまり良く知らない方にはピンとこないかもしれないが、メキシコという国は実はかなり国土が広いのである。



今回の旅では、チワワ〜ロス・モチス間を結ぶチワワ太平洋鉄道に乗ること、その途中で下車し、クリールという村で温泉(レコウアタにある)に入りに行くこと、グアダラハラ近郊にあるテキーラの故郷・テキーラ村に行くことを楽しみにしている。何事もなく、前回の様に貴重な体験ができればなぁ、と思っている。


移り行く街並みに、今回は何を見出すことができるだろうか。出会っては別れていく旅人達と、今回は何を語らうことができるだろうか。そんな思いが過ぎった瞬間から、私の意識は、喧騒と混沌と希望と不安とがごった返すバスターミナルの中に飛んでいくのである。

*1:ちなみにメキシコ国内の学生であれば、この時期はバス等の割引期間に当たり、バスであれば料金が半額になる(ただ、バスごとの割引の人数制限はある)。そのため、ルート・日時が決まっているのであれば予め購入しておいた方が良いのである。先日購入したモレーリアまでの一等バスのチケットも正規225ペソのところが半額になった。